誘発忘れに関する(すこし)新しいルールについて

*短いバージョン*

自分の誘発は、「その誘発が視覚的にゲームに影響する時までに」誘発したことを明示しなければいけません。相手の誘発忘れは指摘する必要はありません。でも誘発忘れ以外のルール違反は指摘しないとだめよ。

*長いバージョン*

やあ、また少しだけ変更された誘発忘れへようこそ。
うん、「また」なんだ。済まない。
正直長い。俺もそう思う。でもまあPTQとか出る人は時間のあるときに読んでみて欲しい。
プロツアーに出る人は是非読んで欲しい。
変化のほとんどは、「誘発を忘れたと判断されるのがいつか」を明確にしたこと。
前のルール変更で「これはちょっと・・・」という声があった部分が、より直感に沿うルールに変わった。

★ あなたは自分の誘発を故意に忘れてはいけません(わざと忘れると失格です)。あなたは対戦相手の誘発をわざわざ指摘する必要はありません。指摘してもいいです。でも誘発忘れ以外のルール違反は指摘しないとだめ(しないと失格です)。これは今までと同じ。

★ あなたは、以下のタイミングまでに、以下に述べた(誘発しましたよ、という意思を表示する)行動を取らないと、「誘発を忘れた」と見なされます。

(1)その誘発型能力がスタックに乗る時点で、対象を選んだり、モードを選んだり、その他何らかの選択を行う必要がある場合
 → 自分が次に優先権をパスする前に
 → それらの選択を宣言しなければなりません。ただし、「対戦相手1人を対象とする」の場合は例外で、宣言する必要はありません(普通相手は1人しかいないので当たり前だから。逆に言えばこれ以外は全部宣言しないといけない。「クリーチャー1体を対象とする」でクリーチャーが1体しかいない場合でも、宣言しないといけない)。

例:アゾリウスの拘引者など。誘発がスタックに乗るときに(留置する)クリーチャーを対象に取るので、その対象指定を忘れたまま、優先権を放棄してしまったらはい誘発忘れ。

(2)その誘発型能力の解決が、視覚的効果を伴ったり(ライフの増減を含む)、または解決時に何かの選択を必要とする場合
 → その誘発型能力の解決後にしか出来ない行動(フェイズが変わったり、他の呪文をプレイしたり)をする前に
 → その誘発型能力の解決を表す物理的なアクションを行う、またはその解決または選択をはっきりと明示する必要があります。

例:《聖トラフトの霊》など。解決時にトークンを出したりする。相手にクリーチャーがいないときには、殴りながら「6点です」と言っただけでも(明確に示しているので)良い。

(3)解決の結果ゲームのルールが変更される場合
 → そのルール変更によって不正となってしまった行動を対戦相手が取る前に(取ったときに)
 → その行動をさせないようにしなければなりません。

例:例えば《紅蓮心の狼》。この場合、相手が1体でブロックしようとした時に、「それは出来ないです。紅蓮心の狼の能力があるので」と言えばオッケー。エムラクールも同じ例。エムラクールを唱えた返しで、相手がターンを始めようとしたときに、「エムラ唱えたんでもう1回僕のターンです」と言って止めればオッケー。相手がターン始めちゃってから気付いたらダメ。

(4)解決時に視覚的効果を伴わないもの
 → その効果が実際視覚的な効果を及ぼす時またはそれまでに、
 → その誘発型能力があることを肉体的なアクションまたはその他の方法で明示しなければなりません。

例:賛美など。2/1賛美1体で攻撃、ノーブロック、「3点です」これは誘発忘れにならず、オッケー(ライフ変更という視覚的効果を及ぼすタイミングで、賛美が解決されている前提でダメージを宣言したから)。

ただしいくつか特殊例があります。

(特殊例1)遅延誘発型能力を生み出すだけの誘発型能力は、自動的に解決されるものとします。その遅延誘発型能力が実際に誘発するときに、上記の通常ルールを適用します。

例:《忠実な聖戦士》など。「忠実な聖戦士が死亡したとき、次の終了ステップの開始時に、あなたのコントロール下でそれを変身させた状態で戦場に戻す。」なので、次の終了ステップの開始時に誘発する誘発型能力は自動的に生み出されます。がしかし、その「変身させた状態で戦場に戻す」という誘発型能力自体は、上記の通常ルールに則って処理します。

(特殊例2)呪文や能力のコピーを作り出すことしかしない誘発型能力(例えばストームや暗号)は、何も言わなくても自動的に解決されたことになります。ただし、その解決の結果作られたコピーが解決される時にそれを解決し忘れた場合には、それは忘れられたものと見なされます。

例:例えば、「カードを1枚引く」という呪文のコピーが1つスタックに乗る誘発型能力があったとします。この誘発型能力は自動的に解決されますが、いざそのコピーが解決されるべき時に、カードを引き忘れてゲームを進めてしまったような場合には(厳密に言えばそれはもはや誘発型能力ではないのですが)、それは忘れられたと見なされ、戻ってきません。
 別の例はストームですが、山ほどストームで相手が死ぬような状況の場合、ストームは自動的に解決されますので、たくさんの呪文がスタックに乗った状態に自動的にそうなるとみなされます。ストーム呪文を唱えてただ相手のレスポンスを待っている状況は、「ストームを忘れた」とは見なされません。

★ 誘発が忘れられた場合、以下のように処理します。

(A)誘発に、その誘発のコントローラーによって行われる選択に伴う選択しなかった場合の処理(「~しないかぎり」「そうでなければ」)が定められている場合、その処理を行ないます(これは今まで通り)。またその誘発型能力が、オブジェクトのゾーンの移動を伴う遅延誘発型能力の場合(例えば《聖トラフトの霊》のトークンが追放される、など)、その解決を行います。これらの場合は、対戦相手が、「今すぐ処理を行う」か「次のフェイズの開始時に処理を行う」かを選びます。又これらのタイプの誘発型能力については、何ターン前に忘れられたものであろうと、この処理を必ず行います(「遅すぎるからそのまま」とはならない)。

※なんで「すぐ」か「次のフェイズの開始時に処理を行う」かを相手に選ばせるかというと、「○○から戦場に戻ってくる」という誘発型能力(例えば《オルゾヴァの幽霊議員》)もこれに該当するからです。その場合、いきなり戦場に戻ってきたら困るよね。

(B)誘発によって生成した効果の持続時間がすでに過ぎている場合、あるいはちょうど1ターン以上前(前のプレイヤーのターンの今のフェイズよりも前)に忘れられた誘発については、そのままの状態でプレイを続けます。(今まで通り)

(C)そうでなければ、対戦相手は、コントローラーにその誘発型能力をプレイさせるかどうかを選ぶことができます。そうした場合、その忘れられていた能力をスタックの該当する場所またはスタックの一番下に置きます。その能力が本来誘発するべき時点でその誘発が参照していた領域に存在していなかったオブジェクトを含む選択を行なうことはできなません。たとえば、プレイヤーにクリーチャーを1体生け贄に捧げさせる能力であれば、能力が本来誘発していた時点で戦場になかったクリーチャーを生け贄に捧げることはできません。(今まで通り)

★ 罰則についてはほぼ今まで通りで、忘れられた誘発型能力が「そのコントローラーにとって一般的に有害であると考えられる場合」には【警告】が与えられます。

 ただし、今後、「一般的に有害」かどうかを判定する時、もしその効果が両方のプレイヤーに順番に影響を及ぼす場合には、誰がその影響を受けるかを考慮します。例えば「アップキープにそのプレイヤーに2ダメージ」といった誘発の場合、相手が影響を受ける時は有害ではないですし、自分が影響を受ける場合は有害といった具合。

★ 最後に僕が疑問に思って偉い人に聞いた例を挙げておきます。
***ここ、少し書き換えました***

対戦相手が、2/1賛美1体で攻撃した。あなたは、ブロック前に、「そのクリーチャーのパワーはいくつですか」と聞いた。相手は「2です」と答えた。

この時点ではまだ彼が誘発を忘れているという証拠にはならない。なぜならまだ攻撃クリーチャー指定ステップで、賛美がスタックに載ってるかもしれないから。

「ブロック良いですか」「はい」「そのクリーチャーのパワーはいくつですか」「2です」

こうなると、すでに誘発したとすればそれはこのタイミングでは解決されているはずだから、相手は誘発を忘れたという明確な意思表示をしている(とみなされる)ことになるので、彼は誘発を忘れている。明確な視覚的な変化は無いけど、明確に忘れたという証言が出てるからね。
この時にあなたは相手の誘発忘れを指摘する必要は無い。つまり、「あれ、賛美ありますよね」という必要は無い。だまって2点食らっていればよい。

まだ誘発がスタックに載っている可能性がある場合には、その誘発はスタックに載っているという前提でプレイをしなければならない。相手が誘発忘れをしたことを確定させるためには、場合によっては「ブロックして良いですか」のように、そのスタックをなくす努力をしなければならないということ。
***書き換えここまで***

ただし注意して欲しいのは、誘発忘れ以外の対戦相手のルール違反はきちんと指摘する義務があると言うこと。どちらか分からない場合があるだろうって?ジャッジを呼んでくれ(望めば、ジャッジはテーブルから離れた場所で相手に聞かれないように話をしてくれる)。くれぐれも曖昧な状態で、「きっとこれは誘発関係だから言わなくてもいいんだろう」と考えたりしないように。故意の違反見逃しは失格という重い罰則になるからね。

例えば赤青剣で、相手が誘発をダメージの方だけ処理してドローを忘れていた場合はどうだろうか?これは相手は「誘発を忘れた」わけではなくて、「(誘発型能力の)効果を正しく処理していない」わけだから、ちゃんと指摘しないといけない。

何にせよ曖昧だと思ったらジャッジを呼ぶこと。これが一番大事。

こんな感じ。ここまで読んでくれた人ありがとう。
短くまとめようと思ったけど無理だった。

質問歓迎。ツイッター(@suzuken)でもコメント欄でもどうぞ。

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